## 第4話 本屋デート
「夕食まで少し時間あるし、本屋に行こうか。」
そう声を掛けると、彼女は笑顔で頷いた。
「うん!」
◇
本屋へ入ると、紙の香りがふわりと漂ってくる。
「久しぶりに来たな……。」
高校生の頃は、参考書を買うためによく通っていた。
新しい問題集が出れば本屋へ。
模試が近付けば本屋へ。
あの頃は何度も足を運んでいたのに、社会人になってからは本を読む時間もすっかり減ってしまった。
そんなことを考えながら歩いていると、自然と漫画コーナーへ足が向いていた。
本棚を眺めていると、一冊の漫画が目に留まる。
『転生したらファミリーカーだったので、この家族のために無事故無違反を目指します』
「……なんだこれ。」
思わず笑ってしまった。
異世界転生ものが流行っているのは知っている。
俺も好きな作品はいくつかある。
でも。
転生先がファミリーカーって、どんな発想なんだよ。
心の中で思わずツッコミを入れてしまう。
すると隣にいた彼女が、同じ漫画を指差した。
「これ見たことある?」
「いや、見たことない。」
「タイトルからしてインパクトすごいね。」
「面白いの?」
彼女は嬉しそうに頷いた。
「面白いよ!」
「発想が斬新なんだよね。」
「他の『転生したら〜』シリーズと違って、かなりギャグ漫画寄りだけど。」
「まぁ、タイトルだけでもギャグっぽいのは伝わってくるな。」
そう言うと、彼女は楽しそうに笑う。
「しかもね。」
「主人公はファミリーカーに轢かれて異世界へ行くんだけど……。」
「なんで転生した先もファミリーカーなの!?って感じなの!」
彼女は笑いながら身振り手振りで話し始めた。
どうやら、この漫画がかなりお気に入りらしい。
作品の魅力を一生懸命語る姿を見ていると、こちらまで興味が湧いてくる。
「あっ!」
彼女は急に口を押さえた。
「やばい!」
「語りすぎた!」
「ネタバレしちゃうところだった……。」
少し照れながら笑う。
「私は最新刊買ってくるね。」
そう言って、新刊コーナーへ小走りで向かっていった。
その後ろ姿を見送りながら、もう一度漫画を手に取る。
……少し気になる。
俺も一巻だけ買ってみようかな。
◇
しばらくすると、最新刊を抱えた彼女が戻ってきた。
「お待たせ!」
「あれ?」
「一巻買うの?」
「私が貸してあげよっか?」
「そうだな。」
「一巻だけ借りて、面白かったら全巻買ってみるよ。」
彼女は満面の笑みを浮かべる。
「絶対面白いって言うよ!」
「読み終わったら感想聞かせてね!」
その嬉しそうな笑顔を見ていると、本を買うより先に感想を伝えたくなってしまう。
「よし。」
「そろそろ行こっか。」
◇
時計を見る。
18:30。
夕食にはちょうどいい時間だ。
「夜ご飯、どうする?」
彼女が期待したような表情でこちらを見る。


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