【第5話】居酒屋デート|彼女の意外な一面

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## 第5話 居酒屋デート

「夕飯は居酒屋に行こっか。」

そう提案すると、彼女はぱっと笑顔になる。

「おっけー!」

「ちょうどお酒飲みたかったんだ!」

彼女はお酒が好きだ。

しかも結構強い。

気付けば、いつも俺より飲んでいる気がする。

「いらっしゃいませー!」

案内されたのは、どこにでもある居酒屋チェーン。

特別なお店じゃない。

でも、こういう気軽なお店の方が落ち着く。

席に着くと、店員さんが注文を聞きに来る。

「とりあえず生二つで。」

彼女も迷わず頷いた。

「お願いします!」

何度見ても、このギャップは意外なんだよな。

見た目だけなら、カシスオレンジとかピーチ系のカクテルを飲みそうなのに。

まぁ、完全に俺の偏見だけど。

しばらくしてジョッキが運ばれてくる。

「お待たせしました、生ビールです。」

彼女は嬉しそうにジョッキを持ち上げた。

「かんぱーい!」

ジョッキ同士が軽くぶつかる。

一口。

そして。

「ぷはぁ〜!」

「お酒は美味しい!」

「ビールは心を潤してくれる!」

幸せそうな顔で笑う。

本当に好きなんだな。

思わず笑ってしまう。

料理も次々に運ばれてくる。

焼き鳥。

刺身盛り。

天ぷら。

枝豆。

どれも定番の居酒屋メニューだ。

その光景を見ていると、彼女のギャップに改めて気付かされる。

可愛らしい見た目。

ふんわりした雰囲気。

なのに注文するものは完全に酒飲み。

そんなところも、彼女らしい。

「……。」

俺が黙って見つめていると、彼女が首を傾げた。

「じーっと見てどうしたの?」

「もしかして違うお店がよかった?」

「いや。」

「いい飲みっぷりだなって思って。」

その瞬間。

彼女は少しだけ頬を膨らませた。

「お酒好きなんだから、いいじゃん。」

少し拗ねたような言い方。

でも、その表情もどこか可愛らしい。

そのタイミングで店員さんが料理を運んできた。

「酢もつと浅漬けきゅうり、お待たせしました。」

彼女は一瞬で表情を変える。

「きたー!」

「今日は絶対これ頼むって決めてたんだ。」

さっきまでの膨れ顔はどこへ行ったのか。

目を輝かせながら箸を伸ばす。

「居酒屋って、色んなものを少しずつ食べられるからいいよね。」

「たくさんは食べられないけど、色々食べたい人には最高なんだ。」

酢もつを一口。

浅漬けきゅうりを一口。

そして。

ビールをごくごくと飲み干した。

ジョッキが空になる。

「すみませーん!」

「おかわり!」

店員さんも慣れた様子で笑顔を返す。

「かしこまりました!」

今日も、本当にいい飲みっぷりだ。

数時間後。

「ふぅ〜。」

「飲んだ〜。」

「食べた〜。」

彼女は満足そうに椅子へ寄りかかった。

「もう飲めない〜。」

「飲みすぎた?」

そう聞くと、彼女は首を横に振る。

「飲みすぎてはないよ?」

「ちゃんと記憶あるし。」

「歩けるし。」

「ただ……。」

「ちょっとテンション高いかも。」

そう言って照れ笑いする。

いつもより少しだけ楽しそうな笑顔。

その姿を見ていると、こちらまで嬉しくなってしまう。

「じゃあ、そろそろ帰ろっか。」

彼女はゆっくり立ち上がる。

「うん。」

「家まで送るよ。」

「ありがとう。」

「じゃ、行こっか。」

電車に揺られる。

窓の外には夜景が流れていく。

向かい合って座る彼女が、小さく呟いた。

「楽しい時間って、あっという間だね。」

「そうだね。」

少し沈黙が流れる。

そして。

「明日から仕事かぁ……。」

思わず笑う。

「嫌なこと思い出させるなよ。」

「ふふっ。」

「嫌でも考えちゃうよね。」

「まぁね。」

二人で苦笑する。

そんな他愛もない会話をしているうちに、30分はあっという間だった。

「終点です。」

車内アナウンスが流れる。

彼女の家の前。

「送ってくれてありがとう。」

「どういたしまして。」

彼女は玄関の前で立ち止まり、こちらを見つめる。

「帰ったら電話してね。」

「気を付けて帰るんだよ?」

「あぁ。」

そう答えると、彼女は安心したように笑った。

「じゃあ、おやすみ〜!」

手を振りながら家へ入っていく。

玄関の扉が閉まる直前まで、彼女はこちらを見送ってくれていた。

家へ帰る。

今日は本当に楽しかった。

時計を見る。

23:00。

「……明日も仕事か。」

現実へ引き戻される。

それでも。

今日という一日は、きっと明日も頑張れる力をくれた。

スマホを見る。

彼女との約束を思い出す。

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