今すぐ起きて準備する。
「あと5分だけ。」
そんな考えが頭をよぎる。
……
いや。
今日はちゃんと起きよう。
布団からゆっくり体を起こす。
何度も遅刻して、彼女を心配させてきた。
今日はちゃんと時間どおりに行こう。
洗面所で顔を洗い、鏡を見る。
「よし。」
服を着替え、髪を整え、忘れ物がないか確認する。
財布。
スマホ。
家の鍵。
全部ある。
時計を見る。
11:40。
今日は駅まで彼女を迎えに行く。
・
・・
・・・
駅に着くと、ちょうど電車がホームへ滑り込んできた。
改札前で待っていると、彼女がこちらへ向かって歩いてくる。
「お待たせ。」
「行こっか。」
「そうだね。」
今日は俺の家で映画を見る予定だ。
この前見た映画ですっかりお気に入りになったアドルフ・ネイガー。
今日はおすすめした『俺の中の俺の俺』を借りる約束をしている。
……その前に。
「お昼ご飯食べよっか。」
「いいね。いつものお店?」
「それでいいなら、そうしようか。」
「オッケー!」
・
・・
・・・
~回転寿司~
駅と家の間にある、いつもの回転寿司屋。
特別高級というわけでもない。
でも、デートでは何度も来ているお気に入りのお店だ。
「回転寿司って毎回同じお寿司頼むことにならない?」
「わかるよ。」
「俺もマグロ、生タコ、いかオクラは毎回頼んでる。」
彼女は笑いながら言う。
「しかも○○君、それ二皿以上食べるよね。」
確かに否定できない。
「私はエビが一番好き。」
「エビアレルギーって急になるっていうじゃん?」
「食べるたびに『今日アレルギーになったら、もう食べられないなぁ』って思いながら食べてる。」
そう言って笑う。
「確かに。」
俺もエビは好きだ。
でも彼女ほどではない。
彼女は次々とエビを注文していく。
「○○君はお寿司だけじゃなくて、うどんとか茶碗蒸しも頼むよね。」
「そうだな。」
「満遍なく食べてる感じかもしれない。」
「偏食がないのはいいことだよ。」
そう言いながら、彼女は五皿目のエビに手を伸ばしていた。
・
・・
・・・
「そろそろ、一緒に映画のDVD借りに行こっか。」
~レンタルショップ~
「えーと……。」
「アドルフ、アドルフ……。」
「アドルフ・ネイガー。」
「あった。」
「『俺の中の俺の俺』。」
彼女が嬉しそうにパッケージを手に取る。
「じゃあ借りて行こう。」
他にも気になる映画はたくさんある。
でも、今日は全部見る時間はない。
また次の楽しみに取っておこう。
レンタル手続きを済ませ、店を出る。
さて、どうしようか。


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